スペイン政府は11月19日、2013年度セルバンテス賞に、メキシコの作家兼ジャーナリスト、エレーナ・ポニアトウスカ(81)が決まった、と発表した。この賞は「スペイン語文学界のノーベル賞」と位置付けられている。
賞金は12万5000ユーロ。来年4月23日のセルバンテス誕生日に、その生地アルカラー・デ・エナーレス市にある同名の大学で授賞式が催され、国王から手渡される。
評論、小説、報道記事など多作。オアハカ生まれの女性ヘスーサがメキシコ革命を戦い、革命後メキシコ市で底辺労働者として働く。その彼女が語る物語小説『アスタ・ノ・ベールテ、ヘスース・ミオ』(1969)は、代表作の一つ。
彼女を有名にしたのは、1968年10月2日メキシコ市トラテロルコの三文化広場で繰り広げられた陸軍による、反政府学生・労働者らの大量虐殺の証言集『トラテロルコの夜』(1971)。彼女は、身重の体ゆえに事件当日は現場に行けなかったが、事件後すぐに証言取材を開始した。当時、記者魂の凄さが評価された。
小説『列車が先に通る』(2006)は、07年のロムロ・ガジェゴス賞を受賞した。
エレーナは、「まったく予期していなかった。嬉しい。亡きカルロス・フエンテス、親友ホセ=エミリオ・パチェコ、セルヒオ・ピトルらと並ぶことができた」と語った。
「私は1953年以来ペリオディスタ(ジャーナリスト)でもある。私の受賞はペリオディスタにとって励みになる」とも述べた。
セルバンテス賞は「メキシコと、自分の家族に捧げる」という。賞金は、財団の基金に回す計画。