ポルトガル映画界の巨匠マノエル・ド・オリヴェイラ監督の2012年の作品「家族の灯り」(原題「ジェボと影」=影には「招かれざる客」の意味が潜んでいる)を試写会で観た。
リスボーアかも知れない街の路地裏に住む、貧しく平凡で実直な家庭での出来事を描く。古い石造りの建物の1階を占める家の扉の外は、石畳の路地が続いている。場面はほとんどが暗い居間兼食堂で、それが新劇の舞台のような感じを終始醸し出している。
淡々と過ぎる日常に事件が起きる。その結果としての結末は哀れだ。
主演マイケル・ロンズデール(ジェボ)。共演クラウディア・カルディナーレ(75歳、ジェボの妻)。脇をジャンヌ・モロー(85歳、親しい訪問客)らが固める。
筋は敢えて言うまい。来年2月15日から、東京・神田神保町の岩波ホールで封切られる。4月4日まで上映される。ぜひ観るよう、お勧めする。
オリヴェイラ監督はこの12月11日、105歳の誕生日を迎え、全国のポルトガル人から祝福された。命のある限り、1年1作主義を追求するという。