中国の習近平主席は7月21日夜、カラカスからハバナに到着、22日、ラウール・カストロ議長と会談した。会談後、29種類の協力協定の調印式が催された。
協力は、サイバー空間構築、原油採掘技術、生物工学、製薬、サンティアゴ港現代化など広範な分野。
習主席は、「クーバと中国は1960年に国交を樹立したが、これは中国にとって米州最初の国交樹立だった」と、両国関係の歴史的意義を讃えた。主席はフィデル・カストロ前議長とも会談した。
主席は23日、カルナバル真っ最中のサンティゴを訪問し、そこから帰国の途に就く。
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中国はクーバにとってベネスエラに次ぐ援助国。往復貿易は昨年、14億ドルに達した。クーバの対中債務は60億ドルと推測される。中国は債務返済に厳しく、返済問題絡みで、過去に調印された協力事項が実行されない例もある。ラウール政権は、極めて慎重に経済改革を進めているが、これは中国には、歩みが遅すぎ規制が多すぎる、と映っている。
クーバが改革に慎重なのは、経済が自由度を高めれば高めるほど、米国が政治介入してくる危険性が増すからだ。この点では、ラウールは兄フィデルと同意見だ。ラウールが自分と同世代(革命第一世代)の同志たちを政権中枢に配置したのも、「改革の急進化」を抑制するためだ。
クーバの改革の歩みは中越と比べ遅いが、国内の経済格差と腐敗件数だけは急激に増えている。政権は、改革を推進しながら欠陥を矯正する、という難しい舵取りを強いられている。