安倍首相は7月26日、エンリケ・ペニャ=ニエト(EPN)墨大統領とともに、メヒコ市郊外テオティウアカンの太陽のピラミデ(ピラミッド、高さ64m)に上った。この後、首相は日系人の中心組織である日墨協会を訪れ、和食を味った。
これで首相の訪墨日程は終わった。次の訪問国トゥリニダード・トバゴ(TT)の首都ポートオブスペインには27日午後到着する予定。
首相と大統領は25日、14件の協力で合意し、うち8項目で調印した。重要なのは、メヒコが望んでいる原発拡大政策に協力するための交渉加速化で合意したこと。
メヒコ政府は、東電福島原発の放射能漏れ大事故の記憶の新しい日本の首相との合意であるため、世論を気遣って原発協力の印象を薄めるため「再生産可能エネルギー協力」という言葉を用い、新聞もそのように報じている。
また、メヒコの原油・天然ガス開発協力のため、日本「石油天然ガス・金属鉱物資源機構」(JOGMEC)とメヒコ石油公社(PEMEX=ペメックス)は14項目の覚書に調印した。
このほか、農産物貿易拡大のため、05年調印の経済連携協定(EPA)の改定交渉を9月開始することで合意した。一連の合意に満足したEPNは、ピラミデまで首相につきあった。
フランス通信AFPは、「露中日3国は、首脳の相次ぐラ米訪問により、米国のくびきから自由になりつつある、資源豊かなラ米での地歩拡大競争に入った」と論評した。
またスイスのメディアは、東アジアで対立関係にある日中は「ラ米で影響力拡大争いをしているが、対ラ米貿易が年間2615億ドルに達する中国が優勢」という趣旨の見方を打ち出した。