2016年3月29日火曜日

コロンビア内戦終結で政府とFARCが新行程表策定中

 半世紀余り内戦を続けてきたコロンビア政府とゲリラ組織FARC(コロンビア革命軍)は3月23日を「和平協定調印期限」としていたが、調印は延期された。

 FARCの最高指導者ティモチェンコ司令は22日、FARCは2018年の次期大統領選挙に政党として参加したいため和平を実現させる、と表明。今年16年大みそかから武装解除を始めたい、と提示した。

 これに対し、JMサントス大統領は28日、FARCは武装解除の日程を明確にせねばならないと述べ、大みそかからの武装解除開始と言うFARCの主張に難色を示した。

 だが大統領は、我々は和平交渉の最終過程にあり、和平実現は近い、と楽観的展望を打ち出した。

 コロンビア陸軍司令部とFARC司令部の代表で構成する「実務小委員会」が現在、武装解除など新しい和平実施日程を策定中。

 和平協定の最重要事項で和平実施は、特定地域へのFARCの集結、武装解除、FARC要員の復員(社会復帰)、FARC政党化、同政治参加、という過程を辿る。

 政府は武装解除のための集結場所を既に提示しているが、FARCは、野放し状態にある極右準軍部隊(パラミリタレス)が丸腰になったFARC要員を殺戮する危険性があるとして、政府案を拒否した。これが23日調印が延期された主な理由だ。

 1980年代後半から90年代初めにかけて、当時のFARCの政党「愛国同盟」(UP)は党首2人を含む幹部3000人が秘密警察、準軍部隊、麻薬組織などに殺された。準軍部隊は秘密警察、陸軍、警察、麻薬組織、保守・右翼政財界と連携していた。

 この苦い体験からFARCは、武装解除を警戒している。ハバナで21日、ジョン・ケリー米国務長官はティモチェンコらFARC指導部と会合した席で、米政府は準軍部隊規制に協力する、と約束している。

【参考論文:伊高浩昭「半世紀におよぶ内戦終結の黎明迎えるコロンビア」=月刊誌『世界』2016年4月号掲載】