2018年5月1日火曜日

 米州諸国機構(OEA)発足70周年▼記念の大使会議でベネズエラ「人道問題」を討議▼20日のVEN大統領選挙を前に揺さぶり掛ける米戦略▼「不安定化の陰謀」とVEN副外相が非難▼キューバで大規模なメイデー行進 

 米州諸国機構(OEA・OAS)は1948年4月、騒乱状態にあったコロンビアの首都ボゴタで発足、それから70年が過ぎた。これに因むと同時に「ベネズエラ人道問題」を討議するOEA特別大使会議が4月30日、ワシントンの本部で開かれた。

 米加墨グアテマラCR・HON巴秘智亜パラグアイ伯の「反ベネズエラ陣営」12カ国が開催を提案(コロンビアは議長国のため提案国にはならなかった)。VENとボリビアは開催に反対した。VENの同盟国キューバはOEAに加盟していない。
 当事国ベネズエラの賛意なしに開かれ、3時間続いた。ニカラグアとエクアドールは特にベネズエラ支援をすることなく黙していた。

 米大統領政庁(ホワイトハウス)のラ米局長フアン・クルーズはベネズエラ国民に向けて「憲法に忠実であれ、マドゥーロ体制に服従するな」と呼び掛けた。特にVEN軍部には、暗に決起を促すとも受け取れる表現で呼び掛けた。

 米国務省ラ米担当次官補代理のマイケル・フィッツパトリックは30日、記者らを前に、OEAは昨年4月に墨カンクンで開かれた外相会議でVEN問題で合意できずに終わったが、その結果として「リマグル―プ」(グリマ)が結成された、と述べた。
 同グループは加墨グアテマラHON・CR巴コロンビア秘智亜パラグアイ伯ガイアナ・セントルシーアで構成。突出を避けるため参加していない米国と連携している。

 「人道危機」という言葉を使ってVENに揺さぶりをかける米国の戦略は、5月20日実施のVEN大統領選挙を控えたVEN有権者に、再選を狙うニコラース・マドゥーロ大統領への投票を止めるよう働き掛ける狙いを持つ。
 VENのサムエル・モンカーダOEA大使(北米担当副外相)は、「OEAはVENに暴力を喚起し、大統領選挙直前のVEN社会を不安定化させようと謀っている」と非難。「人道危機」という言葉を彼らが使っているのは、VENへの介入に備えてだと糾弾した。

 そのうえで、「経済状態が悪いことは否定しないが、5月20日の選挙を経て発足する政権が新しい経済を築く」と述べた。マドゥーロ大統領はカラカスで30日、VENの原油生産日量(180万バレル)を100万バレル増やしたいと、方針を明らかにしている。

 OEAは昨年末のHON大統領選挙の不正について大々的に取り上げることなく、結果的に「不問」に済ませた。16年8月の異常なブラジル大統領弾劾は、労働者党政権を倒し、大掛かりな汚職事件を覆い隠しための保守・右翼陣営の陰謀だったが、これについてもOEAは、弾劾の結果登場したテメル伯現政権追及に執着しなかった。

 トランプ米政権は最近、新たにCIA前長官を国務長官、極右の元国連大使を大統領安保担当補佐官に迎え、右傾化が著しくなった。これはラ米の左翼・進歩主義陣営にさらに厳しい季節が到来したことを意味する。

 フィッツパトリック次官補代理は、5月7日のOEA大使会議と6月ワシントンでのOEA外相会議でマイク・ペンス米副大統領がVEN政策などで演説すると明らかにしている。

▼キューバで大規模なメイデー行進

 ハバナの革命広場では「国際労働者の日」の5月1日、労働者、市民ら数十万人が行進した。観閲台の中央には、ラウール・カストロ共産党第1書記、その左側にミゲル・ディアスカネル国家評議会議長、右側に玖労働者中央同盟(CTC)のウリーセス・ギラルテ書記長が並び立ち、その周囲を党・軍・政府の高官らが固めた。

 今年のメイデーの標語は「団結・公約・勝利」。ディアスカネル議長の下での最初のメイデーだ。全国で「数百万人が行進」と玖メディアは伝えている。
 33カ国からの1300人も参加。彼らは、2日にハバナで開かれる「国際対玖連帯会合」に出席する。