2011年12月20日火曜日

金正日総書記死去-ラ米の反応

▼▼▼▼▼朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金正日総書記・国防委員長が12月17日死去した---と19日発表された。以下は、ラ米諸国の反応である。

    ベネズエラのウーゴ・チャベス大統領は19日、外務省声明を通じて、「ベネズエラの人民と国家を代表して、衷心より哀悼の意をささげる。繁栄と平和に向けて独自の未来を導く北朝鮮人民の能力を信頼する」と述べた。

          ニカラグアのダニエル・オルテガ大統領は19日、夫人のロサリオ・ムリージョ政府コミュニケーション・市民権理事会議長を通じて、「朝鮮兄弟人民に謹んで哀悼の意を表す。朝鮮人民が、全家族のために平和と繁栄を構築しようと進めている現在の過程が継続されるのを祈る」と述べ、社会主義過程継続への期待を表明した。両国は2007年に国交を樹立した。

         キューバ国家評議会は19日、死去した総書記のために20日から3日間、公式な喪に服すと発表した。22日までの72時間、国家施設のキューバ国旗は半旗となった。

   ラウール・カストロ国家評議会議長は22日、ハバナの北朝鮮大使館を訪れ、追悼帳に記帳し、同国大使に、キューバ共産党・政府・人民を代表し衷心より弔意を表す、と伝えた。ブルーノ・ロドリゲス外相も同行し、記帳した。

   当初はキューバの共産党機関紙グランマと労連機関紙トラバハドーレスは19日、総書記死去に関する事実関係だけを簡単に報じただけだった。玖朝両国は1960年8月29日、国交を樹立した。1986年、当時のフィデル・カストロ国家評議会議長が訪朝した。北朝鮮からは2010年11月、李英ほ(イ・ヨンホ、「ホ」は金偏に高)軍参謀総長が訪玖し、ラウール・カストロ議長と会談している。現在の両国関係は、保健、教育、スポーツ、農業、石油、生物工学などの協力が中心で、「良好」とされている。

        チリ共産党は19日、総書記の遺族に弔電を打った。これに対し、チリのロドリゴ・ヒンスペテル内相は、独裁政権に連帯するとは重大な無定見だ、と非難した。同党のウーゴ・グティエレス下院議員は、一人の人間の死を悼んでいるのに違和感を持たれるのがわからない、と反駁した。

        エクアドールは21日、レーニン・モレーノ副大統領が、金正恩氏に弔電を送った、と発表した。      

   一方、国連総会は、総書記死去発表後の19日、北朝鮮の人権状況を非難する決議案を賛成123、反対16、棄権51で可決した。キューバ、ベネズエラは反対、ニカラグア、エクアドールは棄権した。

   キューバの評論家ホルヘ・ゴメスは20日、「北朝鮮の継承」と題した論評を発表した。そのなかで、「北朝鮮の矛盾は、王国でなく共和国なのに、指導者の世襲が行なわれてきたことだ」と指摘している。

        またハバナからの報道によると、「キューバ人権・国民和解委員会」(非合法NGO)のエリサルド・サンチェス代表(著名な反体制派)は20日、「カストロ兄弟は北朝鮮の金一族の世襲のような誘惑にかられているようだが、キューバで世襲が実現する可能性はない」と述べた。

   キューバ政権は兄フィデルから弟ラウールに08年2月正式に引き継がれたが、キューバ政府は、兄弟は1953年のモンカダ兵営襲撃以来の同世代の革命の同志であり、政権継承は「世襲」ではない、との立場を貫いている。

   ラウールは59年の革命後一貫してフィデルを支えていた序列2位の実力者だった。第1副議長から議長への昇進は順当な人事、と内外で受け止められている。