2011年12月30日金曜日

グアテマラ和平15年、今も殺戮の巷

▼▽▼▽▼グアテマラ和平協定が調印されてから12月29日で15周年。1960年に始まり36年続いた内戦は、25万人の死者を出した。その93%は軍・警察、その手先の準軍部隊など政府側の手にかかった犠牲者だ。ゲリラによるのは3%、判断がつかないのが4%。

    アルバロ・コロム大統領は、「内戦を招いた原因は依然存続している。平和に暮らすには不十分な状況だ」と述べ、和平時の合意事項のわずか6%しか達成されていない状況を指摘した。

    (来年)1月14日、就任する退役将軍オットー・ペレス=モリーナ次期大統領(60)は、内戦を戦った陸軍幹部で、殺戮に関与する立場にあった。極右で、和平協定調印式で署名した軍人の一人でもある。「達成されていない合意事項に重点的に取り組む」と語った。

    内戦の最大の犠牲者であるマヤ系先住民族は、人口の最大多数派でありながら、大多数が日常生活を貧困のなかに封じ込められている。先住民族の公務員への登用拡大という合意事項も守られていない。

    内戦は終わったが、巷では一日平均18人が殺されている。その6割方は、麻薬組織絡みの殺人だ。内戦中の殺人発生率とほとんど変わらない異常さだ。今年11月6日の大統領選挙決選投票で恐持てのペレス=モリーナが勝ったのは、治安強化を望む有権者が多いことにもよる。

    悪いことに、極右の元軍人が次期政権を担う公算が大きくなった決選直前ごろから当選後の
昨今にかけて、国内右翼勢力が、元ゲリラや知識人らを、内戦中の「人道犯罪関与」容疑で告訴する動きが目立っている。これを見かねた国連人権高等弁務官事務所は、「法制度の濫用は避けるべし」と警告した。

    マヤ人が人間として完全には認められていない社会ゆえ、2%の富裕層が耕作地の65%を握る異常な不平等社会ゆえ、コカイン生産地コロンビアとその消費地米国の中継地になったがゆえに、民主の夜明けは遠い。