2011年12月31日土曜日

チリパタゴニーアで山火事

▼★▼チリパタゴニーアのトーレス・デ・パイネ(パイネ針峰群)国立公園で12月27日山火事が発生、セバスティアン・ピニェーラ大統領は30日、米豪亜3国政府に鎮火のための支援を要請した。

    この公園の面積は24万hr。大統領は延焼面積が8500hrに達した時点で、支援を要請した。その後、延焼面積は1万1000hrに達している。

    同公園は、この国随一の景勝の地。パイネ主峰(標高3050m)を中心に、針峰群が連なる。主峰は、隣接するアルゼンチンパタゴニーアのフィッツロイ岳(3405m)と比肩する。アンデス山脈が造る最も美しい地域である。

    一帯は夏の乾燥期にあり、強風が吹いて、火災が拡がった。雨が時折降るが、鎮火にはほとんど効力がないという。警察は、外国人観光客数人を特定し、<火の不注意>で取り調べた。

    ピニェーラ大統領は国際支援を仰ぐのに際し、パイネ国立公園を「チリと世界の自然資産」と強調し、大自然を守る意思を表明した。だが一方でパタゴニーアでの開発を進めており、大統領の言葉は矛盾している。先住民族マプーチェの生活権や聖地も脅かされている。

    今回の山火事を契機にチリ人が、乱開発や先住民族迫害の問題に新たな視座を開くことができれば、不幸中の幸いと言うべきだろう。