2014年3月12日水曜日

チリのミチェル・バチェレー大統領が就任

 チレのミチェル・バチェレー大統領(62)が3月11日就任した。2006~10年に次ぎ2期目となる。新大統領は、バルパライソにある国会で、イサベル・アジェンデ上院議長から大統領の襷(たすき)を渡された。

 女性上院議長から女性大統領に襷が渡されたのは、チレ史上初めて。またラ米に同時期に女性大統領が4人そろったのも初めて。亜国、ブラジル、コスタ・リーカに加え、再びチレが女性大統領となった。

 バチェレーは決選で女性候補エベリン・マテイを破って当選したが、女性候補同士の一騎討ちもチレ大統領選挙史上初めてだった。

 就任式には、チレを除く南米11カ国からは、内政にかかりきりのベネスエラ大統領と、10日始まったカリコム首脳会議に出たガイアナ大統領以外の9カ国大統領が出席した。メキシコ大統領、米副大統領、OEA事務総長らも出席した。

 アジェンデ議長はこの日の自らの就任式に臨んだが、就任後、「父(故サルバドール・アジェンデ大統領)は1966~69年に上院議長だった。娘が同じ地位に就いたことを誇りに思っているはずだ」と述べた。

 また「チリ最高位の大統領と上院議長に同時に女性が就任した事実は、男女平等の進展を象徴的に示す」と指摘した。

 実業家で富豪のセバスティアン・ピニェーラ前大統領は、新自由主義政策を推進し、貧富格差を拡げた。また教育民営化で学生層の激しい反発を招いた。先住民族マプーチェへの弾圧も目立った。

 バチェレー大統領は、前政権がもらたした歪みの是正に加え、ピノチェー軍政期にできた現行憲法の大幅改正ないし、新憲法制定を志している。新憲法制定は相当に難しい政治的事業であり、やるならば時間をかけて段階的に目指すしかないだろう。

 また政権党連合とともに「新多数派」という選挙連合を組んだ共産党が代表する底辺層の福利拡充も課題となる。