コロンビアのフアン・サントス大統領は3月19日、首都ボゴタのグスタボ・ペトロ市長を解任する政令に署名した。公職者を解任する資格を持つ検事総長が昨年12月に決定したのを受けて、署名した。ペトロは15年間公職追放となり、事実上、政治生命を絶たれた。
右翼・超保守として世論から批判されている検事総長は、ペトロが市のごみ収集担当会社を従来の民間会社から公社に変更したため街中にごみが溢れたとして、「市長失格」と判断、解任を決めた。
その後、公聴会で賛否両派が意見を述べていた。また米州人権委員会(CIDH)は、解任反対の立場から、大統領に慎重な判断を求めていた。
サントスが政令に署名したのは、「決断力のある為政者」を誇示する狙いからと見受けられる。世論調査によると、サントスは5月の大統領選挙で得票が過半数に至らず決選が不可避となり、決選で敗れる可能性がある。
またサントスはこのほど遊説中に小便をもらし、白いズボンに水分が滲み拡がる映像がUチューブで内外に配信されたため、権威が著しく傷ついた。
こうした<劣勢>を跳ね返すため、保守・右翼層に訴える効果を持つ市長解任に踏み切った、と分析できる。またボゴタ市長は大統領に次ぐ要職と見なされており、人気の高いペトロが将来、保守層にとって政敵になるのを未然に防ぐ意味もある。現に、決選でサントスを脅かす可能性のあるエンリケ・ペニャローサ候補は、元ボゴタ市長だ。
ペトロは、旧ゲリラ組織「4月19日運動」(M19)の幹部だった。大統領が署名したのを受けて、米州司法裁判所に訴えると明らかにした。同裁判所は、コスタ・リーカの首都サンホセにある。