メヒコ大統領エンリケ・ペニャ=ニエト就任2周年の12月1日、全国60都市で大統領辞任を求める抗議デモが行なわれた。9月26日発生した師範学校生43人の強制失踪事件の真相をいまだに解明する気のない大統領は施政3年目に入る日に、無能の烙印をあらためて押され、窮地に陥っている。
EPN大統領支持率は39%に落ちた。失踪事件が発生したゲレロ州イグアラ市を3日訪ねる予定だったが、急遽中止した。
首都メヒコ市での抗議行動は、大統領政庁のある憲法広場(ソカロ)からレフォルマ大通りの独立記念碑まで5000人が行進した。抗議行動の終わるころ、覆面をした約50人が銀行の現金引き出し所、商店などを破壊し、略奪した。覆面組には、平和デモを貶めるため、当局の回し者が入っている場合が多い。
43人事件は、メヒコの政界、財界、麻薬組織が一体化した「国家の犯罪」と受け止められており、国際社会の関心も集めている。政府は地方警察や麻薬組織による「よくある」拉致・殺害事件として片付けようとしたが、学生の家族が立ち上がり、支援が内外に拡がって、政府は動きが取れなくなっている。
真相に迫れば、政権基盤がぐらつくとの見方もある。EPNはメヒコ州知事時代や、大統領候補としての選挙運動期間中に腐敗、不正、暴力がつきまとっていた。最近は、7億円とされる豪邸を、高速鉄道建設工事を落札した企業集団関係者から建ててもらうという癒着が暴露された。