スパイ罪で16年間米国で服役し12月17日クーバに帰還した元諜報機関員ヘラルド・エルナンデスの妻アドリアーナ(44)は1月初め女児を産む。なぜ彼女が妊娠できたのか、そこには人道的計らいがあった。
エルナンデスは米国で1998年9月逮捕された「5人の英雄」(米国では「マイアミ・ファイヴ」)の代表格で、「終身刑2回および禁錮15年」という常軌を逸した実刑判決を受け、カリフォルニア州内の刑務所で服役していた。この判決は「ヘイトクライム」とも呼べるものだった。
だが米玖国交正常化を願う米連邦議員が司法省に掛け合い、今年初め、エルナンデスの精液を妻に送ることに成功した。アドリアーナは人工授精で妊娠した。
彼女は42歳だった2012年、「夫は長期刑に服役しており、私が母親になれないまま時が経つばかり」と、あるインタビューで述べた。これが米議員と司法省を動かした。
同省は12月22日、仲介の労を取ったことを認めた。人工授精は、米玖交渉がカナダで極秘裏に展開されていたさなかに施された。クーバでは、エルナンデス夫妻があちこちで祝福されている。