東京で久々にタンゴ・アルヘンティーノ(亜国タンゴ)を味わった。来日公演中のオクテート(8人編成)楽団「ラ・フアン・ダリエンソ」を中野サンプラザで聴いたのだ。
若手演奏者が多く、演奏法、掛け声、パフォーマンスに若い勢いと<新しさ>が顕われていた。楽団を率いるのは、第1バンドネオン奏者のファクンド・ラサリ(27)だ。
ファクンドの祖父カルロス・ラサリ(1925)~2009)は、フアン・ダリエンソ(1900~76)楽団のバンドネオン奏者だった。その孫であることを、ファクンドは誇りにしている。
曲目は28、アンコール用の2を合わせて30曲だった。カルロス・ラサリの演奏で歌っていた歌手フェルナンド・ロダス(53)は7曲を歌った。名曲「最後の盃」が良かった。
踊りは、ブエノスアイレスでの世界タンゴ選手権で優勝し最初のカンペオンになったカルラとガスパル、去年のカンペオン、マヌエラとフアンら3組。男女が踊る振付には限度があり、どの踊りも似てしまう。これは仕方がない。その限界を知りつつも変化を付けようと努力しているのがうかがわれた。
この一団は1月22日から全国で公演してきた。3月12日の福島県いわきでの公演で終わる。その後、台湾公演に移る。
「民音」が主催、新聞社やテレビ局が部分的に共催している。制作協力はLATINA。
2時間余り、ブエノスアイレスの場末やタンゴ酒場の雰囲気を懐かしむことができる。