2015年9月25日金曜日

☆国際司法裁がボリビア・チリ領土問題審理を可能と判断

 ハーグの国際司法裁判所は9月24日、ボリビアが太平洋岸領土回復のための交渉をチレに義務付けるよう要求した2013年の案件について、同裁判所にはボリビアの要求を「審理する権限がある」との判断を賛成14、反対2で可決し、「領土問題は決着済み」とのチレの主張を退けた。これにより、この案件の審理が継続されることになった。

 ボリビアのエボ・モラレス大統領は、この判断を「歴史的勝利」と受け止め、チレのミチェル・バチェレー大統領に対話を求めた。この判断を予測していたバチェレー大統領は、「チレの国土の一体性が損なわれることはありえない」と発言、強気の姿勢を示した。

 モラレスは訪米中のフランシスコ法王と電話会談し、25日国連で法王に謁見する約束を取り付けた。モラレスは、法王に仲介を求める意向だ。

 チレは1879年、ボリビア領だったアントファガスタ地方の硝石開発権をめぐって戦争を仕掛け、ボリビア・ペルー連合軍を破った。ボリビアから同地方を奪い、ペルーからアリーカ、タラパカ2地方を奪った。ボリビアはこれにより、内陸国になった。

 この戦争は、太平洋沿岸での海戦が中心だったことから、「太平洋戦争」と呼ばれている。

 以来ボリビアは「海への出口回復」を悲願としてきた。モラレスは特にこの問題に熱心で、4選を狙うための正統的理由づくりのためにも国際司法裁提訴を一大運動として展開してきた。

【モラレスは9月29日の国連総会演説で、チレに対話による問題解決を呼び掛けるとともに、「ボリビアは遅かれ早かれ海岸領土回復を実現させる」と述べた。】