2011年11月2日水曜日

伝説の女性闘士死去

   アルゼンチン共産党(PCA)の名誉党首ファニー・エデルマン(100歳)が11月1日、ブエノスアイレスで自然死し、長い闘争の人生に終止符を打った。

   ファニーは1911年2月27日、コルドバ州内のロシア人移民の家に生まれた。19歳だった30年、イリゴジェン民主政権が軍事クーデターで倒されると、政治闘争に身を投じた。音楽教師として働きながら、34年PCAに入党して政治囚救済運動を展開し、国際赤十字でも活動した。

   スペイン内戦が勃発した36年、建設労組幹部ベルナルド・エデルマンと結婚。翌37年9月、第3インターナショナル(コミンテルン)の動員命令を受けて、夫妻でスペイン内戦に国際義勇兵部隊の戦士として参戦し、バレンシア一帯で戦った。

   38年5月、「国際的な女性闘士」の名声をもって帰国した。47年ペロン政権下で、アルゼンチン女性連盟を創設。59年、革命直後のキューバに行き、女性運動の指導者ビルマ・エスピン(故人、ラウール・カストロ議長の妻)と会う。72年には国際民主女性連盟の議長に就任した。

   キューバ革命、アジェンデ・チリ社会主義政権、ニカラグア・サンディニスタ革命などの支援活動を続けた。78年にはアルゼンチン軍政の人権蹂躙状況をジュネーブの国連人権委員会で告発し、軍政糾弾を呼び掛けた。

   満百歳に達して間もないことし3月、キューバ政府から「ホセ・マルティ勲章」を授与された。

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   ジョージ・オーウェルの『カタルーニャ讃歌』の影響が強いが、私の世代のジャーナリストには、
スペイン内戦を反ファシズムの側で戦った人々への愛着と敬意がある。ファニーを鍛えたのも、この内戦だった。


(2011年11月2日 伊高浩昭)