2011年11月9日水曜日

キューバ革命軍相決まる

ラウール・カストロ国家評議会議長(上級大将、初代革命軍相)は11月8日、第3代革命軍相(国防相)に、これまで第1副革命軍相だったレオポルド・シントゥラ=フリーアス大将(70)を任命した。9月3日に第2代革命軍相フリオ・カサス大将が心臓発作で死去して以来、空席だった。

   革命軍相は、カストロ体制にとって国防だけでなく、内相と並ぶ治安の要。それだけに2カ月に及ぶ空白期間が、「権力闘争の存在」など、憶測を呼んでいた。後任第一候補である第1副相の地位にあったシントゥラだが、「ラウールよりもフィデルに近い」と見なされてきた。

   だが11月5日、サンティアゴ市郊外の東部第二戦線霊廟で、カサスの納骨式が行なわれたことから、シントゥラの任命は間近と見られていた。革命戦争中、第二戦線はラウールが指揮した拠点で、カサスは側近だった。この霊廟には、ラウールと親友だったスペインの舞踊家アントニオ・ガデスも眠っている。

   シントゥラは1957年、マエストラ山脈でゲリラ戦を指揮していたフィデル・カストロの元に16歳で馳せ参じ、少尉として59年1月のハバナ入城を果たした。キューバ軍事学校を卒業し、モスクワに留学した。

   エティオピア戦争(78年)では戦車部隊を指揮した。南アフリカ軍相手のアンゴラ戦争では、最前線で戦闘部隊を率いた。89年処刑されたオチョア将軍の後任として西部軍団司令官。91年から共産党政治局員。98年「キューバ共和国英雄勲章」を受賞。08年10月から第1副相を務めていた。革命戦争以来の「歴戦の兵(つわもの)」である。

   一方、後任の第1副相には、アルバロ・ロペス=ミエラ大将(68)が就任した。従来からの総参謀本部長を兼任する。やはりエティオピアやアンゴラで戦い、共和国英雄。政治局員。

        ロペス=ミエラ大将は、ラウールの子飼いと見なされている。実働部隊を取り仕切る総参謀本部長を兼務することは、遠くない将来、本命として革命軍相に納まる可能性を示唆する。 
(2011年11月9~14日 伊高浩昭)