2011年11月11日金曜日
法王がキューバ訪問へ
バティカンは11月10日、法王ベネディクト16世が来年キューバを訪問する、と発表した。
キューバの守護神「聖母カリダー・デ・コブレ」出現400周年に合わせての訪問。訪問時期は明らかにされていないが、3月後半の可能性があるという。
キューバでは、400周年祭に向けて、8月8日から12月30日まで、聖母像の全国行脚が行なわれている。
前法王・故ヨハネパウロ2世は1998年1月、法王として初めてキューバを訪問し、フィデル・カストロ国家評議会議長(当時)と対話した。法王は、「世界がキューバに開き、キューバも世界に開くべきだ」と働きかけた。
フィデルには、ソ連圏崩壊で共産主義への信頼もついえてキューバ人の心に生じた空洞を、革命前から存続していたカトリック信仰で埋めようと、法王を招いた。
同時に、東西冷戦後の時代にキューバが生きる道は、国際社会と広く関わる以外にないとの認識から、法王の影響力を期待した。
一方、法王には、フィデルの<全球的社会正義>に耳を傾けることによって、猛威を振るっていた弱肉強食の新自由主義の<不正義>を国際社会に訴える思惑があった。
2008年に就任したラウール・カストロ議長は、カトリック教会との対話を推進し、フィデル時代に捕えられていた反体制派(もしくは反革命派)の囚人たちを釈放した。
ハバナ大司教ハイメ・オルテガ枢機卿は最近、「囚人釈放は終わった」と述べ、法王来訪の可能性を示唆していた。
反体制派は、来訪する法王に「キューバの民主化」促進を直訴しようと準備を始めた。
法王は、キューバ訪問時に、メキシコも訪れる。現法王のラ米訪問は、07年のブラジル訪問に次いで2度目。コロンビア・カリブ海岸のカルタヘーナ市に立ち寄る可能性もあるという。
(2011年11月11日 伊高浩昭)