2013年7月22日月曜日

外国メディアが圧勝後の安倍の動向を論評

 7月21日実施の参議院議員選挙の結果についての一部外国メディアの論評をまとめた。

 スペイン「エル・パイース」紙:安倍が改憲に乗り出すのを警戒する向きがある。そのような動きは、過去の帝国主義日本の記憶に依然苛まれている中韓両国との緊張を増幅させよう。安倍は既に、日本軍慰安婦問題で中韓を苛立たせている。改憲には慎重であるべきだ。

 スペインEFE通信:選挙結果には驚きはない。だが幾つかある驚きの一つは、原発反対を訴えてきた山本太郎の当選だ。

 ドイツDPA通信:安倍を非難する人々は、安倍が国家主義政策を優先させるのを恐れている。安倍は、日本が米国の手を離れて、軍事と外交で自信を持てる強国になるのを望んでいる。

 中国・新華社通信:与党連合は圧勝したが、自民党が完全に自由に改憲できるようになったわけではない。安倍は圧勝で、経済政策重視から、平和憲法改変を通じ自衛隊を国軍にする課題に短期的に移行するのではないか、と指摘する向きがある。評論家も、安倍は軍備増強で強い日本をつくろうとしていると指摘する。そうなれば、中韓関係にさらなる緊張を招くことになる。だが世論調査は、憲法9条改定派が多数でないことを示している。公明党は、改憲問題で決定を左右できる立場にある。

 米NYT紙:戦後の平和体制から移行する可能性が出てきた。安倍は、精彩のない首相たちが続いた後、「改革執行者」として登場した。安倍は、中国に対抗するため、平和憲法書き換えを志している。安倍には実利主義と国家主義があるが、圧勝によって国家主義が明確になるのではないかと、評論家は指摘する。だが、有権者が改憲を望んでいるのかどうか、はっきりしない。対中警戒心が安倍への支持を増やした。だが経済が陰れば、支持は減っていく。安倍は前回の短命政権の経験から、経済を疎かにしたたままでは国家主義政策を推進できないという教訓を得た。

 米AP通信:圧勝は、安倍経済政策と安倍復権を認めた。鷹派安倍に改憲への余裕が出てきた。中韓との緊張は増幅する。有権者は経済第一主義であり、改憲には消極的だ。

 英ロイター通信:小泉が06年退陣して以来の安定政権が実現した。鷹派安倍は経済政策で一層強い主導権を握った。短命政権の失敗の埋め合わせができた。日本人は、圧勝した安倍が経済政策を犠牲にして国家主義優先に邁進するのを懸念している。圧勝したが、自民党内に経済改革深化に反対する勢力がいるのは皮肉だ。安倍には右翼、実利主義、経済改革者の3つの顔があるが、ある評論家は、今後も経済改革中心に進むと見る。圧勝ではあるが、投票律の低さ(52・61%)が勝利を陰らせている。