2013年7月9日火曜日

米紙がエジプト軍部に「ピノチェー型軍政」を提言


 右翼的論調で知られる米経済紙ウォールストゥリート・ジャーナル(WSJ)は7月5日、「エジプトクーデター後」と題した無署名論説記事で、「エジプト軍部は、混乱の中から登場し、市場経済を敷き、民政移管に道を開いたチリのピノチェー型軍政を踏襲すればいいのではないか」という趣旨の提言をした。

 これに対し、英ガーディアン紙のNY通信員は、「恐怖政治が望ましいと考える誰かがWSJ紙面を借りて意見を表明した」という趣旨の受け止め方をし、WSJを批判した。

 同通信員は、ピノチェー軍政16年半の間に3200人が殺され、3万人が拷問された事実を指摘し、「これがいいと言うのか」という形で反駁した。

 ピノチェーは1990年3月、好んで民政移管に応じたわけではない。90年代半ばまで政権に居座り続けようとしたが、国民投票で阻まれ、やむなく退陣した。だが、その後も陸軍司令官を辞めず、それを辞めた後は上院議員に収まって、人道犯罪追及を阻止する、極右の防波堤になっていた。