チレ政府主催のチレ文学賞2014年受賞者に8月22日、アントニオ・スカールメタ(73)が決まった。代表作は、パブロ・ネルーダのカプリ島亡命期に題材を得た『燃え立つ忍耐』(1985)。後に『ネルーダの郵便配達夫』と改題、1994年「イル・ポスティーノ」(郵便配達夫)として映画化された。
スカールメタはアントファガスタ市に生まれ、チレ大学哲学科を卒業。64年フルブライト奨学金で米コロンビア大学に学び、文学修士。帰国後、チレ大学哲学科教授。67年、物語『情熱』刊行。68年『屋根上の裸体』でアメリカス館賞受賞。
アジェンデ社会主義政権時代には、人民連合の一角、人民・統一行動運動(MAPU)の党員だった。
73年の軍事クーデター後、アルヘンティーナに亡命、次いで西ドイツに移る。奨学金を得て執筆や文化活動に従事。89年帰国し、サンティアゴにゲーテ協会を開いた。ここは作家らの集いの場となった。
2000~03年、駐ドイツ大使。チレ文学界の長老格。