2018年5月20日日曜日

 ベネズエラ大統領選挙の投票始まる▼国際監視団が各地に展開▼代表格はサパテロ前スペイン首相▼コレア前エクアドール大統領も到着▼米政府は実力者カベ―ジョ政権党副党首に「制裁」科す

 きょう5月20日午前6時、ベネズエラ大統領選挙の投票が始まった。世界各地から集まった選挙監視団が各地で監視活動をしている。
 国家選挙理事会(CNE)は、投票終了時刻を明確には表明していない。投票所に行列ができるなどして投票が長引くような場合、それを認める構えだ。

 選挙前の支持率調査では、D社がニコラース・マドゥーロ大統領43%、野党候補ヘンリー・ファルコン24%、H社がマドゥ―ロ52%、ファルコン22%。3番手はハビエル・ベルトゥッチでいずれも20%前後。ファルコンは、「ベネズエラ経済の米ドル化」を公約して注目されている。

 米国、欧州一部諸国、ラ米一部諸国は今選挙を認めないと表明している。マドゥーロ大統領は、これについて「欧州も米国も他者と対話し、他者を理解する能力を持っているはずだが」と語っている。

 CNEによれば、国際選挙監視団は2000人に及ぶという。その代表格ホセ=ルイス・ロドリゲス=サパテロ前スペイン首相(社民主義者)は18日カラカスでニコラース・マドゥーロ大統領らと会談。その後、記者会見し、「今選挙も投票の自由と安全が保障されている」と述べた。
 サパテロはまた、再選を狙うマドゥーロに次ぐ有力候補である野党のヘンリー・ファルコン候補とも19日カラカスで会談。内容は公表されていない。

 サパテロはマドゥ―ロ政権と野党など反政府勢力が厳しく対峙し始めた2016年から国際仲介団の中核として、ベネズエラ政治・政界に関与してきた。
 選挙をボイコットしている保守・右翼野党連合MUDの幹部は、サパテロ前首相を「裏切者」呼ばわりしている。これについて前首相は「選挙や対話をしなければ何も始まらない」と反論した。
 サパテロとともに、元フランス上院議長ジャンピエール・ベルや欧州連合(EU)の元高官も監視団に参加している。

 ラファエル・コレア前エクアドール大統領も参加。昨年、大統領任期を終え、夫人の故国ベルギーに住むコレアは、久々にラ米の「熱い現場」に身を置いている。
 アフリカ連合(AU)の駐米大使アリカナ・クアオもワシントンからカラカス入り。露中央選管派遣のワシリー・リハチョフも監視団に参加している。

 一方、米政府は18日、政権党PSUV(ベネズエラ統一社会党)の副党首で、大統領に次ぐ実力者のディオスダード・カベ―ジョ元国会議長に「制裁」を一方的に科した。「麻薬取引関与」などを理由にしているが、選挙直前のマドゥーロ体制への揺さぶり工作であるのは疑いない。