カール・マルクス(1818~83)の生誕200周年(5月5日)に際し、社会主義体制のキューバでは幾つかの記念行事が催された。
玖労働者中央同盟(CTC)の機関紙トラバハドーレス(4日付)は、マルクスの熟年・晩年期に青年期にあったキューバ最大の知識人ホセ・マルティ(1853~95)が、「弱者の側に立つことは名誉に値する」と述べていたことを伝えた。
さらにマルクスについて、「世界を新しい基盤に置くため闘った」と評価していたことにも触れた。だが同紙は、マルティがマルクスの唱えた階級闘争に否定的見方を打ち出していたことには触れなかった。
ハバナにあるラウール・ロア=ガルシア国際関係高等研究所では4日、「マルティ、マルクス、玖社会主義」と題したシンポジウムが開かれた。
「マルティとマルクスに、社会正義と公共の善のために活動する道を我々は見出した」、「マルクス主義は過去の遺物では決してなく、生きている科学として、時代に反逆する思想を持つことが急務である現代の状況を批判的に分析する方法を与えてくれる」などの意見が出された。
この会合は、ホセ・マルティ文化協会(SCJM)とマルティ研究所(CEM)が主催。マルティ青年運動(MJM)、「フラグア・マルティ博物館」(MFM)なども参加した。
玖作家・芸術家連盟(UNEAC)UNEACも5日、記念会合を開いた。
ペルーのリマで開かれたフォーラムでは、同国共産党創設者で思想家のホセ=カルロス・マリアテギ(1894~1930)とマルクスを対比させる形で議論が展開された。
また、英知識人らの意見もラ米各紙で紹介された。「共産主義はマルクスとエンゲルスが想定したようにはならなず、ソ連圏がなくなり、世界は資本制に凌駕された」という意見や、「極少数者への富の集中と絶望的貧富格差、市場全球化、労働を伴わない取引による利潤獲得など、現代資本制の歪みをマルクスは19世紀に予測していた」との評価も伝えられた。
「そんな現代だからこそ、マルクスの価値が再評価されるべきだ」という意見が少なくない。
一方、「ボリーバル主義(ボリバリアーナ)革命」と「21世紀型社会主義」を標榜するベネズエラのニコラース・マドゥ―ロ大統領は4日、マルクスには触れずに、「世界のほとんどの民主主義は選良による選良のためのものだが、我々のは最大多数者のための人民民主主義だ」と述べた。
★「週刊金曜日」誌5月11日号映画欄(56P)に、仏独ベルギー合作「マルクス・エンゲルス」(岩波ホール上映中)の評「時に無頼な<革命的生き様>描く」を書きました。ご参考まで。