ユネスコ「世界報道の自由の日」の5月3日、亜国ジャーナリズム企業協会(ADEPA)加盟の約200のメディアは電子版で、「このニュースは責任ある編集に基づく」という点を明確に表明し、「社会メディアの虚偽ニュースを拒否しよう」と呼び掛けるた。
また、「#職業ジャーナズムはシ(良し)」、「#虚偽ニュースはノ(駄目)」と発信することを決め、一斉に発信した。
クラリン、ラ・ナシオン、インフォバーエ、ぺルフィール、ラ・ガセータ、ラ・ボス・デ・インテリオール、TNなど、アルゼンチンの主要メディアが参加している。
この「報道の自由の日」は1993年5月3日、ナミビア首都ウィントフクで開かれたユネスコ主催「アフリカ独立メディア促進セミナー」での決定を受け、翌94年に施行。今年は第25回となる。
「国境のない記者団」の判断による「2018年報道の自由度順位」(世界約190カ国対象)によれば、LAC(ラ米・カリブ地域)では、ジャマイカが上位6位、コスタ・リカが10位に入った。下位10位では、社会主義キューバが最下位から9番目につけた。
そのキューバでは玖ジャーナリスト協会(UPEC)が会合を開き、ラ米では2017年にジャーナリスト37人が殺害されたと報告した。
キューバで最後にジャーナリストが殺されたのは、革命戦争中の1958年5月13日、反乱軍が立て籠もるマエストラ山脈でフィデル・カストロ最高司令らを取材し、ハバナから空路出国しようとしていたエクアドール(赤道国)人カルロス・バスティーダスがバティスタ政権の秘密警察に逮捕され、拷問されてから射殺された事件、と指摘された。
ラ米ジャーナリスト連盟(FLAP)はハバナで、「進歩主義政権退潮、ジャーナリスト殺害頻発、富の分配の不公平拡大が<報道の不正義>を生み、そのような状況が<報道の自由>を富裕支配層と帝国主義に都合の良いものと解釈されている」と批判した。
さらに、「多国籍大企業によるメディア独占」状況を非難。社会メディアが「政治運動」を展開し、「イデオロギー的攻勢をかけている」と指摘した。
米国に関しては、「キューバは長年、米国による反革命宣伝ラ・テ放送に晒されてきた」との言及があった。
記者殺しが最悪状態にあるメキシコでは、ジャーナリスト団体などがこの日、国会で成立済みの「社会伝達法」を施行しないよう、エンリケ・ペニャ=ニエト大統領に訴えた。
メキシコでは2017年にジャーナリスト12人が殺された。今年はすでに3人が犠牲になっており、最近では3月ベラクルース州内でレオバルド・バスケス記者が自宅玄関で射殺された。
エクアドールのレニーン・モレーノ大統領は「報道の自由を守る」と述べ、先ごろコロンビアゲリラ残党に殺害された同国エル・コメルシオ紙取材班3人を悼んだ。
米国ではマイク・ポンぺオ国務長官が「自由なジャーナリズムを促進し守る」と述べた。だが、トランプ現政権下で虚偽ニュースなどが跋扈、充満し、言論の自由が脅かされている、との指摘が数多くある。
LACの「自由度順位」はCR、ウルグアイ、スリナム、チリ、亜国、ガイアナ、ドミ二カ共和国、ハイチ、エル・サルバドール、ペルー、ニカラグア、パナマ、赤道国、ブラジル、パラグアイ、ボリビア、グアテマラ、コロンビア、ベネズエラ、メキシコ、キューバ、の順。
日本では「報道の自由の日」は「憲法記念日」と重なり、注目度が低い。政府・官界と国会政権党議員らの虚偽言動が充満 、司法の意志薄弱が目立つ日本の「報道の自由度」は、先進工業国では極めて低い。そんな権力の状況が虚偽情報を日本社会に蔓延させ、言論封じの悪しき傾向が顕著になっている。
日本のジャーナリストやメディアが「報道の自由の日」をもっと重視することを期待したい。
5月3日は、朝日新聞阪神支局襲撃事件(1987年)発生の日である。小尻知博記者が29歳の若い人生を銃弾に奪われ、犬飼兵衛記者(今年1月死去)が重傷を負った凶悪な言論封殺事件だった。事件はいまだに未解明だ。
この日本のジャーナリズムとしては、この事件と「報道自由の日」を結び付けて考えるべきだろう。
因みに、スペイン語でジャーナリズムは「ペリオディズモ」、ジャーナリストは「ペリオディスタ」という。