2018年5月22日火曜日

 ベネズエラ選挙最終結果判明▼マドゥーロ大統領は622万票(67・8%)▼有権者に疲労感、投票率下がる▼6月に通貨デノミ実施へ▼米国やリマグループは新たな対抗措置決定

 ベネズエラ国家選挙理事会(CNE)は5月21日、前日実施の大統領選挙の最終結果を発表した。再選されたニコラース・マドゥーロ大統領(55)は622万票(得票率67・8%)を獲得した。登録有権者913万人が投票、投票率は46%だった。

 だが5年前、13年4月の大統領選挙でマドゥーロは700万票台、17年7月の制憲議会(ANC)議員選挙で政権党連合は800万票台だった。今回600万票台に留まったのは、投票率が50%を下回ったことによる。
 2位の野党候補ヘンリー・ファルコンは197票(21%)だった。

 有権者の過半数は、長引く経済苦、政治抗争、国際社会での孤立感、チャベス派政権19年への飽きと疲れから棄権に回ったのだ。
 マドゥーロは現在の1期目の任期が終わる19年1月に2期目に入り、25年1月まで6年の新たな施政を任された。次回選挙は20年末の国会議員選挙であり、向こう2年半、選挙を気にせずに施政に集中できることになる。

 現在の任期が来年1月に切れるのは、故ウーゴ・チャベス前大統領の最終任期が13年1月に始まったからだ。マドゥーロは闘病中のチャベスに代わり大統領代行、3月5日にチャベスが死去してからは暫定大統領になり、4月の選挙に臨んだ。

 再選を果たしたマドゥ―ロは6月4日、通貨ボリーバルのゼロ3桁を外したデノミネイションを実施する。新紙幣発行で超インフレに対処しようという計らいだ。
 だが頼みの原油生産が過去30年来最低水準という日量150万バレルに低迷。トランプ米政権に起因する新たな「イラン危機」とともに国際原油価格を押し上げる要因となっている。資金欠乏から産油現場でのインフラ老朽化、労働力流出が著しく、増産に対応できないのだ。

 資金不足は、米国主導による金融封鎖が最大の原因。ドナルド・トランプ大統領は21日、ベネズエラ政府が資金調達のため進める国債販売と、国営ベネズエラ石油(PDVSA)による債務売却を規制する政令を出した。

 また米加墨亜伯智6か国は21日ブエノスアイレスで、ベネズエラ大統領選挙の結果を認めないとし、新たな「制裁」を検討するとの声明を出した。同市ではG20外相会合が開かれる。また11月30日から2日間、G20首脳会合が開催される。

 一方、反マドゥーロ連合である「リマグループ」(グリマ)加盟の亜パラグアイ伯智コロンビア秘CR巴ホンジュラス墨グアテマラ加ガイアナ・セントルシーアの14カ国は21日、ベネズエラ大統領選挙結果を認めないと表明。
 さらに「外交レベルを引き下げるため」として、ベネズエラ駐在大使召還、各国駐在のベネズエラ大使への抗議伝達の2点を決めた。また6月ワシントンでの米州諸国機構(OEA)外相会議で、「ベネズエラ問題」を議題にすることも決めた。

 国内では、分裂、弱体化して事実上「有名無実」化した保守・右翼野党連合(MUD)に代わり結成された「自由ベネズエラ拡大戦線」は21日に、活動方針を打ち出す予定。
 政府支持派論調は、「米国、欧州、グリマ、反動マスメディア群などによる策謀は敗北した」というような内容が目立っている。