トランプ米政権のベネズエラ政権打倒圧力が倍加している。ニキ・ヘイリー米国連大使は5月8日、米州諸国の外交官、企業家を前に、「ニコラース・マドゥーロ(VEN大統領)が辞めるまで圧力をかけ続けよう。ラ米全諸国民の安全のためにマドゥーロは去るべきだ」と訴えた。
同大使は、「具体策はないが、圧力をかけるのを止めてはならない。米州地域(の広範な協力)に懸かっている。説得や対話を呼び掛けるべき時は既にすぎている」とも述べた。
この会合は、米州諸国の財界を中心に1965年デイヴィド・ロックフェラーによって結成された「米州理事会」の主催により米国務省内で開かれた第48回米州会議。ヘイリーはまた、「内破」(内側から崩壊すること)はVENだけでなくニカラグアでも始まっている、と指摘した。
一方、マイク・ペンス米副大統領は8日、米州諸国機構(OEA)ワシントン本部でのOEA大使会議で演説、「米国は手をこまねいてはいない。ベネズエラは自由になる。失敗国家に国境はない」と強調。当事国VENと米国および非加盟のキューバを除く加盟32カ国に、「ベネズエラのOEA加盟資格停止」に踏み切るよう促した。
これに対し、VEN外務省は8日カラカスで声明を発表、「覇権主義者の冷笑・傲慢」と米政府を糾弾した。
特にペンスが「国境はない」と乱暴な言葉を吐いたのは、VENに軍事侵攻したいがラ米側から反対され欲求不満気味の米政府の苛立ちを象徴している。今月20日にマドゥーロ再選が有力視されているVEN大統領選挙が迫っているため、米国は内政干渉を激化させている。
トランプ政権はVEN、キューバ、ニカラグアの3国をひとまとめにして敵視している。同3国は、特にイランを敵視する米政権がイラン核合意から8日離脱したこともあり、警戒心を強めている。
▼コスタ・リカ新大統領が就任
4月1日の大統領選挙決選で勝ったカルロス・アルバラード(38)が5月8日就任した。任期は4年。ルイス・ソリース前大統領に続く市民行動党(PAC)の政権。
新大統領は首都サンホセの「民主・国軍廃止広場」での就任演説で、教育、国庫、治安を優先政策として掲げた。特に歳出削減の可能性を示唆した。
今年は1948年4月、故ホセ・フィゲレス(元大統領)率いる反乱軍が内乱を起こし政府軍を打倒、執政評議会を設立した70周年。同年12月初め評議会議長のフィゲレスは国軍廃止を柱とする新憲法を発布した。就任式のあった広場の名前は、この史実に由来する。
就任式にはエクアドール、ボリビア、エル・サルバドール、グアテマラ、パナマ、ドミニカ共和国の各大統領、キューバ副議長(イネース・チャプマン)、コロンビア副大統領、ベネズエラ外相、蘭領アルバ首相らが出席した。
5月1日に就任した新下院議長カロリーナ・イダルゴも35歳で、若い女性。政権党PACは下院定数57のうち10議席しか保有しておらず、国会での野党の協力が欠かせない。
▼亜国がIMFに融資要請
アルゼンチン政府は5月8日、通貨ペソが米ドルに対し安値に陥っているため、国際通貨基金(IMF)に融資要請、近くワシントンで交渉が始まる。
亜国としては、IMF や米政府の介入を拒否したキルチネル夫妻3期12年を入れ15年ぶりのIMFへの接近。施政3年目にあるマクリ新自由主義・右翼政権は来年末に大統領選挙を控え、経済回復に躍起だ。