2018年5月31日木曜日

 キューバ議長が初外遊で同盟国ベネズエラを訪問▼議会演説で「米帝国主義」を糾弾▼マドゥーロ大統領と生産力拡大政策に基づく協力強化を話し合う▼パラグアイ国会は大統領早期辞任を事実上拒否

 キューバのミゲル・ディアスカネル国家評議会議長は5月30日、べネズエラを公式訪問した。4月19日の議長就任後最初の訪問国に、原油を好条件で供給してくれる同盟国ベネズエラを選んだ。

 議長は小型専用機でカラカス空港に到着、タレク・エルアイサミ副大統領、ホルヘ・アレアサ外相らの出迎えを受けた。議長にはリス・クエスタ夫人、ブルーノ・ロドリゲス外相らが同行している。
 一行は国立墓苑内のシモン・ボリーバル廟と、「丘上の砦」にあるウーゴ・チャベス廟に参った。

 議長は、国会議事堂で開かれた制憲議会(ANC)で10分余り演説、「さる20日のベネズエラ大統領選挙におけるニコラース・マドゥーロ大統領の再選を、キューバ人は我が事のように感じていた」と述べ、「この勝利はラ米全体の勝利だ」と讃えた。
 また「米帝国主義の介入」を非難し、「ボリバリアーナ革命は、米国や右翼諸国には不快なのだろうが、ベネズエラ国民は幸せに感じている」と指摘した。

 さらに「ベネズエラのきょうだい国民は、キューバの不変の支持を当てにできる」と強調。故フィデル・カストロ元議長の革命標語だった「祖国か死か、勝利ずるぞ」で演説を締め括った。

 ANCのデルシー・ロドリゲス議長は、「ベネズエラが内外からの脅威に晒されている時に連帯してくれた」と、キューバの姿勢と議長来訪に感謝の意を表した。
 議長は政庁でマドゥーロ大統領と会談した。マドゥーロはディアスカネル議長就任後、直ちにハバナを訪問、最初に会談した外国元首。

    両首脳は「歴史的紐帯強化」で一致。マドゥーロ大統領は「向こう10年間の生産力総合的拡大政策」に基づき、エネルギー・経済・通商・金融協力強化、工業・農業・鉱業・観光の合弁事業新規開始を玖議長と話し合った、と明らかにした。


▼パラグアイ大統領は早期辞任不可

 オラシオ・カルテス大統領は7月1日に上院議員に就任するため、8月15日の任期切れより2か月半早く辞任したいと表明していたが、国会は5月30日、定足数不足で早期辞任の是非を審議できなかった。政権党(コロラード党)議員にも反対者が出た。

 これにより大統領は事実上、辞任を拒否され、任期満了までその地位に留まらねばならなくなった。満了と同時に、大統領経験者として終身上院議員になれるが、議場での発言権はあっても議決(投票)権はない。カルテスは議決権を持つ議員になろうと5月末の大統領辞任を求めたが、国会からはねつけられた形になった。

 現在の上院議長フェルナンド・ルーゴ元大統領は決議権を持つ。「国会クーデター」と呼ばれた弾劾で大統領任期を全うできず下野、その後の選挙で当選したからだ。