ブラジルで5月27日、ルイス=イナシオ・ルーラ=ダ・シルヴァ元大統領を支持・連帯し、拘禁からの解放を求める大規模な抗議行進が展開された。
ルーラが所属する労働者党(PT)が呼び掛けたもので、PT発表では、全国70都市で計3000万人が参加した。
ルーラは腐敗罪でパラナー州都クリチーバの警察拘置所で拘禁されている。12年余りの禁固刑だが、最終的には確定していない。
今年10月、大統領選挙が実施されるが、ルーラは拘禁前も拘禁後も支持率最高位を維持してきた。
この国の富裕層・軍部・保守・右翼・親米派などで構成される反PT勢力は、過去4回の大統領選挙ですべてPTに敗れた。PTの支持層は貧困層、労働者階級、中産下層、若者らで、有権者の中で圧倒的多数派である。だから選挙のたびに勝利する力を得てきた。
業を煮やした反PT勢力は2016年8月、弾劾条件としては些細な理由でヂウマ・ルセーフ前大統領を弾劾。反PT勢力側のミシェル・テメル現暫定大統領が政権に就いた。
これで目的を半分達成した反PT派は今年、ルーラを選挙で勝てないようにしようと司法を動員、ルーラの身柄を早々と拘禁させた。
だがルーラの人気は高く、選挙の投開票が公正であれば、拘置所から出馬して勝利する可能性が十分にあると見られている。
▼パラグアイ大統領が早期辞任表明
オラシオ・カルテス大統領は5月28日、上院議員に7月1日就任するため30日で辞任したいと表明した。本来の任期は、マリオ・アブド=べニーテス次期大統領が就任する8月15日まである。
国会は30日審議し、辞表受理の是非を決める。受理されれば、アリシア・プチェータ副大統領が暫定大統領となる。
▼ニカラグア国民対話再開へ
5月16日に始まり23日に暗礁に乗り上げた「国民対話」は28日、近日中に再開されることが決まった。司教会議の仲介の下、オルテガ政権と反政府勢力の合同委員会が話し合い、再開を決めた。
反政府側は、各地の自動車道を遮断している妨害柵を一部撤去することを受け入れた。だがオルテガ退陣のための「自由な選挙」を要求しており、対話は今後も難航必至だ。
政権側は治安回復を最大目的としており、そのための「弾圧柔軟化」などには応じる構えを示している。対話中も中断後も治安部隊と反政府派学生らの衝突が続いている。
▼メキシコでまた記者殺害さる
北東部のタマウリパス州都ビクトリア市の路上で5月29日、エクトル・ゴンサレス=アントニオ記者(44)が撲殺体で発見された。首都メキシコ市で発行されているエクセルシオール紙の通信員だった。
これで今年メキシコで殺されたジャーナリストは6人、現政権下で44人となった。昨年は17人が殺された。