ボリビアのエボ・モラレス大統領は5月13日、トランプ米政権と米州諸国機構(OEA)の(米国寄り)加盟諸国は、20日のべネズエラ大統領選挙前にマスメディアの宣伝作戦と並行してベネズエラで暴力活動を起こす不安定化計画を実施しようとしている、と非難。コロンビアのトゥマコに米軍部隊が集結していると、懸念を表明した。
米国および同調諸国は選挙でニコラース・マドゥーロ現大統領が再選された場合、ベネズエラに軍事介入する計画だ、ともモラレス大統領は指摘した。
ボリビア大統領の発言は、亜国人女性ジャーナリスト、ステラ・カロ―ニが13日、亜国紙ディアリオ・コンテキスト、ベネズエラのウルティマス・ノティシアス紙などに掲載された署名記事で暴露した「対VEN侵攻計画」を踏まえている。
カロ―ニは、米南方軍司令官カート・ティッド海軍大将がまとめた機密文書を引用し、米軍が軍事介入する場合、パナマ、コロンビア、ブラジル、ガイアナのVEN周辺諸国が拠点となり、亜国など反マドゥーロ政権諸国が介入を支援する、と指摘した。
また同文書には、「トランプ政権にとり、民主と安全保障に関する姿勢を示す最初の機会となろう」と記されているという。カロ―二は、「米国はチャベス主義を決定的に叩き潰そうと狙っている」と警告している。
この「ティッド計画」は、マイク・ペンス米副大統領の「失敗国家(VEN)に国境はない」「vENのOEA加盟資格を停止させよう」、JMサントス・コロンビア大統領の「近くVENで政権が交代する」などの不穏な発言の基にもなっている。
OEAから追放したうえでOEA諸国と「有志連合」を組んで軍事侵攻するのが、米国の常套手段。1962年、米国はキューバに対し、これをやろうとしてソ連に察知され、結果として核ミサイル危機に陥った。65年のドミニカ共和国内紛にも同じ方式で軍事侵攻した。
一方、ホルヘ・アレアサVEN外相は13日、VEN選挙を認めないと表明している欧州や米州の国々に対し、「VENに敬意を表してほしい」と訴えた。
VEN政権党PSUVのディオスダード・カべージョ副党首は同日、「MUD(野党連合)が棄権を訴えているのは選挙で勝てないからだ」と指摘。「国会は有名無実化しており、選挙後、国会議員資格を無効にする」と述べた。
ヘスース・トレアルバ元MUD代表は13日、「MUDは分裂したのではなく消滅した」と明言。選挙後の再結集の備えるべく相互非難などを控えようと、旧MUD加盟会派に呼び掛けた。
トレアルバはまた、同陣営が棄権でなく結集して投票すれば、ヘンリー・ファルコン野党候補がマドゥーロに勝つ、とも断言した。
マドリードでは13日、マリアーノ・ラホーイ西首相とサントス・コロンビア大統領が会談、「VENの重大事態は民主的に解決すべきだ」という立場で一致した。これは米軍介入の可能性をカモフラージュする意図的発言、とも受け取られている。
VEN周辺情勢の混乱は、2016年度ノーベル平和賞受賞者であるサントスが、米国などともにマドゥーロ政権打倒工作に走ったことにも起因する。
ベネズエラ原油は11日、1b=66・57米ドル。
▼ニカラグア各地で略奪頻発
反政府活動が激化しているニカラグアの首都マナグア、チナンデ―ガ、ボアコ、グラナーダ、レオン、マサヤの6都市で5月13日、スーパーマーケットなど商店が略奪された。
被害の出ていない店の店主側は略奪に備え、棍棒、山刀(マチェテ)などで自衛している。警察は、暴徒が政権党支持派である場合、略奪を黙認しがちだという。