2014年1月26日日曜日

川成洋著『ジャック白井と国際旅団』を読む


 川成洋著『ジャック白井と国際旅団』(中公文庫)を読んだ。スペイン内戦(1936~39)に国際義勇兵として反ファシズムの側で参戦した唯一の日本人である。

 米国に密入国し、ニューヨークでコックとして生活する間に米国共産党の会合に通うようになり、志願し党によってスペインの戦場に送りこまれた。炊事兵から機関銃手となり、37年7月11日ブルネテの激戦で戦死する。

 スペイン内戦に関心を抱く者の間で白井は既に有名な人物であり、故石垣綾子らの著書に断片的に登場する。だが、その人生を細かく綴った本は、川成の前著『スペイン戦争-ジャック白井と国際旅団』くらいしかなかった。この前著に加筆し改題したのが本書であり、労作だ。

 これから書評を書くため、これ以上書かないが、本書は、名もない市井の民が歴史の決定的局面に自らの意思で真摯に参加する時、偉大になり得ることを示している。