2014年1月4日土曜日

『キューバ医療の現場を見る』を読む


 キューバ円卓会議が編集した『キューバ医療の現場を見る』(同時代社)を読んだ。円卓会議が東京で結成された10周年を記念して昨年末に出た本だ。

 医療専門家らがクーバの医療施設を訪問し取材した成果がまとめられている。みな「極めて人間的な社会」に驚いている。人間性の欠如著しい日本社会からクーバに行けば、裏返しの実相が見えるのだ。

 精神医療分野に触れた記述が興味深い。「その国がどんな国であるのかは、精神障害者の扱いを見ればわかる」という指摘がある。この見地に立てば、精神障害者を鎖で繋ぐ日本はひどい社会である。

 冒頭に、医師出身の革命家チェ・ゲバーラの実娘で小児科医師のアレイダ・ゲバーラの談話が出ている。「日本への恐れは、アジアを侵略した国であること、と、原爆を投下されて敗戦しながら経済強国にのし上がったことによる」という発言が意味深い。

 書評に書いたため、内容にはこれ以上触れない。