2015年1月21日水曜日

経済封鎖の損害賠償も議題、とキューバが立場表明

 クーバ共産党機関紙グランマは1月21日、玖米交渉開始に先立ち、「外務省筋の話」として、21、22日の交渉に臨むクーバの立場を列挙した。

 
 
 まず「対等、主権、相互性の原則に立ち、建設的的精神で交渉に臨む」と表明。国交正常化交渉は、双方の利害に絡む諸問題に対処すべき長く複雑な過程であり、一度の会合ですべてが解決すると思ってはならない」と警告した。そして、オバーマ大統領の採った措置は建設的ではあるが、経済封鎖解除問題は進展してない、と指摘した。

 2日間の交渉の議題は3つあり、初日は移民問題、2日目は国交正常化交渉、および、その他の協力など2国間関係を扱うと明らかにした。

 移民問題でクーバ側は、2013年1月の改正出入国法施行後2年間の影響について報告する。また、不法移民を誘発し続けている米国の「クーバ調整法」(1966年施行)への懸念を表明する。

 さらに、2006年にブッシュ前政権が開始した、第三国で活動するクーバ人医師・医療技術者に米居住権授与を提示して亡命を促す策謀を交渉で糾弾する。しかし不法移民、自身売買、文書偽造などの分野で協力する用意がある。

 22日午前、大使館が開設される。これは国連憲章と、外交・領事関係に関するウィーン条約に則り、内政不干渉、対等主権、脅迫不可、権利対等、民族自決などに基づいて行なわれる。

 クーバは在米領事館が米市銀口座開設問題で業務が滞った経緯も踏まえ、大使館開設後の口座開設に関し問題なきよう要請する。

 クーバは国交正常化に際し、米国による「テロ支援国」指定を解除するよう要求する。米側に国交正常化の意志があるならば、経済封鎖を解除せよ。封鎖による損害の賠償についても話し合われるべきだ。

 以上を議題にしたいが、一度にすべての議題を取り上げることはできない。双方の隔たりは大きいが、理解し合うのは可能だ。

 第3の議題は協力関係で、これまで不法移民、原油流出で協力してきた。地震対策では協力が始まりつつある。

 米国内には人権問題があり、相互性に基づき、それについても話し合うべきだ。

 米国はクーバの市民社会と接触したいとしている。ならば歓迎する。学生、女性、農民、専門職、身体障害者、労働者などの組織と折衝すればよい。

 両国関係は新時代に入りつつある。過去の過ちは繰り返すべきでない。

 一方、米国務省は20日、対玖交渉団の首席代表ロベルタ・ジェイコブソン国務省米州担当次官補は21日から24日までクーバを訪問し、国交正常化、移民問題などを話し合う、と発表した。