2018年6月1日金曜日

 ベネズエラ野党勢力が再編成▼旧MUDは伝統政党ADと極右中心に出直し▼ファルコン派は伝統政党COPEIなど民社系でまとまる▼不明瞭な「拡大戦線」との関係▼ウルグアイ外相が仲介意欲示す▼キューバ議長が帰国▼ニカラグアで死傷者増える

 ニコラース・マドゥーロ大統領のチャベス派政権に反対するベネズエラ野党勢力が5月末、2つの政党連合組織を結成した。

 一つは保守・右翼野党連合「民主連合会議」(MUD)。民主行動党(AD、民社)、まず正義党(PJ、極右)、人民意志(VP、極右)、新時代(UNT、右翼)、ラ・カウサR、ベネズエラ進歩運動(MPV)で30日、再編成された。事務局長にはラモーン・アべレードが就任した。

 二つ目は、5月20日の大統領選挙で敗北したが善戦したヘンリー・ファルコンを支持する勢力。進歩主義前哨(AP、ファルコンの党)、キリスト教社会党(COPEI)、社会主義運動(MAS)の3党を中心に、小さな7会派が参加している。31日公表された。
   この連合体は自らを「野党統一綱領」などと呼んでいるが、正式名称かどうか不明。

 今年初め「MUDの後身」と銘打って発足した野党連合「自由ベネズエラ拡大戦線」(FAVL)と再編成されたMUD、およびファルコン派連合との関係は明らかではない。

 こうした分裂、組織的重複や曖昧さをかかえる野党勢力は、400~500万人の支持基盤を持つチャベス派に歯が立たない。そのため米国、リマグループ、欧州などの反マドゥーロ諸国の支援を得て、「20日の選挙を認めない」「再選挙を」と宣伝活動を繰り広げてきたが、効果がない。

 一方、ウルグアイのロドルフォ・ニン=ノボア外相は5月31日、同国上院外交委員会でベネズエラ情勢に触れ、マドゥーロ政権と反政府勢力の間で仲介役を務めるのが建設的だ、と述べた。

 同外相は、ベネズエラには選挙参加派、棄権(ボイコット)派、福音派と3種類の野党勢力があるようだ、と指摘した。

▼キューバ議長が帰国

 ミゲル・ディアスカネル国家評議会議長は5月30日から2日間のべネズエラ公式訪問を終え、31日帰国した。同議長にとり、4月の就任後最初の外遊だった。
 ハバナ空港には、ラウール・カストロ共産党第1書記(前議長)らが出迎えた。これには新議長を励ます意味があるが、ベネズエラとの経済協力交渉が成果を挙げたことをも示唆する。

   一方、玖米間の直接航空便が5月31日開始された。オバマ前米政権期の2016年3月に実施が決まっていた。

▼ニカラグアで死者15人、199人負傷

 5月30日から31日にかけて各地の都市を中心に大学生ら反政府勢力と、私服の政府系鎮圧団が衝突した。警察発表では、15人が死亡、199人が負傷した。