2015年10月1日木曜日

国連記録官がチリ警察の過剰警備を止めさせるよう要請

 各国の集会・結社の自由について調査している国連特別記録官マイナ・キアイ(ケニア人)はチレでの調査を終えた9月30日サンティアゴで記者会見し、チレ政府に対し、ピノチェー軍事独裁政権の遺制をなくすよう要請したことを明らかにした。

 キアイ記録官は来年6月、ジュネーブの国連人権理事会で今回のチレ調査の結果を報告するが、30日、報告内容の概要をミチェル・バチェレー大統領に伝えた。

 記録官は記者会見で、治安警備隊(カラビネロス)は労働者、学生、先住民族マプーチェらの抗議行動に対し「過剰な実力行使と粗暴な弾圧」をしていると指摘、これを止めるよう訴えた。

 チレ北部のエル・サルバドール銅山で7月、鉱夫ネルソン・キチジャオがカラビネロスに撃たれて死亡する事件が起きた。現場を訪れ調査した記録官は、これを弾圧の実例として挙げた。

 抗議行動では一部勢力が暴力行為に出、これをカラビネロスが弾圧するが、一般市民は、この種の弾圧を我慢し黙認する。こうした事態について記録官は、「不適切だ。なぜなら市民が抗議行動に敵意を抱くことになりうるからだ」と批判した。

 記録官はさらに、軍政期1983年の政令でカラビネロスに無許可デモを規制する任務が与えられたことに関し、カラビネロスが市民の抗議行動の許可・不許可を恣意的に決める自由裁量権を握っているため、それが事実上、法制化されているような状態になる危険性を秘めている、と懸念を表明。同政令の廃止を求めた。

 記録官は調査過程で、カラビネロスのブルーノ・ビジャロボス長官とも会談した。カラビネロスは内務省管轄下にあるが、軍政期には国防省に編入され、陸海空軍と共に「4軍」とされ、ピノチェー独裁を支えた。