2015年10月20日火曜日

ブラジル下院の汚職調査委員会が大統領の関与責任を排除

 ブラジル国営石油会社ペトロブラス関連の汚職事件を2月から調査してきたブラジル国会下院の委員会(ルイス・ヂオルヴェイラ委員長)は10月19日、最終報告を発表、政府や政党による制度的な関与を示す証拠はないと結論づけた。

 これにより、ヂウマ・ルセフ大統領、ルーラ前大統領、ペトロブラス元社長2人らの事件責任は排除された。報告書は、国営企業管理強化、腐敗取締法改正、内部告発奨励など14措置を提案している。

 この調査委員会は下院議員27人で構成され、22日に報告書承認の可否を採決する。修正があるもよう。

 事件は、ルーラ、ルセフ両労働者党(PT)政権下の2004~14年の間に、事業入落札に際し建設業者、政治家、同社職員らが絡んで総額20億ドルの収賄がなされたというもの。

 野党は、資金がPTの選挙資金や国会多数派工作に用いられたと非難し、ルセフ大統領の国会での弾劾を求めてきた。大統領選挙で連続4回勝てないままの保守・右翼諸党は、弾劾後の選挙で政権奪取を狙う戦略を描いている。

 これまでにPT会計担当者が収賄により禁錮15年の実刑判決を受けたのをはじめ、44人が断罪された。また123人が起訴されている。上下両院議員約50人が捜査され、現下院議長にも500万ドル収賄の嫌疑がかかっている。