2013年6月21日金曜日

沖縄の反オスプレイ闘争描く「標的の村」を観る


ドキュメンタリー映画「標的の村」(三上智恵監督、琉球朝日放送制作、91分)を試写会で観た。沖縄島東村高江集落の住民による、集落周辺に米軍のオスプレイ兵員輸送機離発着場(ヘリパッド)を建設しようとしていた防衛施設局員・土建業者職員・警察機動隊に対する5年間の闘争を描いたルポルタージュの力作だ。

政府権力に訴えられた住民たちの、那覇での裁判闘争も含まれる。住民にとっての真の敵は、住民と沖縄を犠牲の生贄にする日本政府だが、その姿は見えない。

生活者は喜怒哀楽の「怒と哀」を、日米安保最前線の軍事基地の入り口で爆発させる。日本政府の賓客である米兵たちは、にやにや笑って傍観する。だが珍しく、米兵が住民を基地内に引っ張りこもうとした場面が撮影され、この映画に含まれている。これは貴重な映像だ。

私は1970年代末に3年間、沖縄で基地問題を取材した。当時の取材相手や友人が何人か年老いて画面に登場する。沖縄への郷愁が一気に膨らみ、現在の現実の住民闘争と結びついた。昔も今も、沖縄人が政府と生活によって分断させられ、同胞同士がいがみ合い対峙し、時として肉弾戦を演じている。

理は住民にある。だから政府は無理を押し通すだけなのだ。 

8月10日(土)から、東京の「ポレポレ東中野」で公開される。