米州諸国機構(OEA)は3月21日ワシントンの本部で大使会議を開き、パナマなどが準備していた「ベネスエラ情勢」討議を多数決で葬った。
ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領から5日断交されたパナマのリカルド・マルティネリ大統領は、OEA駐在代表部の臨時次席として、ベネスエラ反政府勢力の旗頭の一人で極右国会議員マリーア=コリーナ・マチャードを出席させ、マチャードの口から反政府勢力の立場を語らせ、これをテレビ中継を通じて内外に宣伝しようと目論んでいた。
だがニカラグアが緊急動議を出し、この日の優先議題とされていた「ベネスエラ情勢」を取り消す決議案を賛成22、反対11、棄権1で可決した。「その他の議題」からも外され、会議全体が非公開となった。
結局、マチャードは会議の終わりに意見を述べるのを許可されたのにとどまった。ベネスエラ政府の立場を支持したブラジル大使は、「一部勢力がOEAを政治ショーの場にするのを阻止した」と語った。
ベネスエラ外務省は、「極右とゴルペ(クーデター)の陰謀に対し再び国際的に勝利した」とする声明を発表した。また、「マルティネリとマチャードは、ラ米最悪のファシスタの流れを汲んでいる」と非難した。
マドゥーロ大統領はカラカスでメヒコのTV放送テレビサのインタビューに応じ、「ベネスエラはラ米一の民主国だ。この国を理解するには、革命体制が包囲され攻撃されている実情を知らねばならない」と強調した。
一方、エクアドール外務省は、南米諸国連合(ウナスール)が25、26両日カラカスで、加盟国外相らで構成される委員会を開き、ベネスエラ問題解決について話し合う、と明らかにした。
ベネスエラ最高裁は20日、カラボボ州サンディエゴ市の市長ビセンシオ・スカラーノを解任し、禁錮10カ月半の実刑に処した。スカラーノは、街頭暴動を支援したとして蜂起扇動罪で19日逮捕されていた。またタチラ州サンクリストーバル市の市長ダニエル・セバージョも、蜂起扇動罪で19日逮捕された。
タチラ州内では19日からは環境省施設、国軍大学分校なども襲撃されている。州知事は、破壊活動に準軍部隊と傭兵たちが加担している、と指摘した。そのような分子は、隣接するコロンビアから侵入していると見られている。州知事は政権党、セバージョ市長は野党で、野党市長のいる市では破壊活動が際立っている。
ボリビアのエボ・モラレス大統領は19日ラパスで記者会見し、「米当局者が、去年4月のベネスエラ大統領選挙の票の数え直しが必要だと語った、との情報がある」と前置きし、「米政府はベネスエラへの介入を準備している。LAC(ラ米・カリブ)政府と人民にベネスエラ政府防衛を呼び掛ける」と訴えた。
モラレスは20日には、来訪した米議員5人と会った。その後、記者会見し、「米国は、ベネスエラ民主主義、マドゥーロ大統領、LACの立場を尊重すべきだ。このことをBオバーマ大統領に伝えてほしい。そう議員たちに伝えた」と明らかにした。