2015年1月15日木曜日

チリ上院が悪法「ビノミナル制度」廃止を議決

 チレ国会上院は1月14日、選挙法改正法案を三分の二の絶対多数で可決した。民意を代表しない従来の「1会派1選挙区2候補出馬制度」(ビノミナル制度)は下院の議決を待って葬られる方向となった。

 旧ピノチェー軍政は1990年3月の民政移管に先立つ89年、少数派の右翼・保守政党に有利なビノミナル制度を導入し、国会議員選挙のたびに実勢以上の議席数を獲得し、民主的改革を阻んでいた。

 この制度では、ある選挙区で二人ずつ立候補した会派Aと会派Bのうち、Aの得票合計がBのそれを上回った場合、Aは2人当選となる。上回らないう場合は、ABそれぞれの上位得票者が当選する。この場合、Aの2位の候補はB1位の得票を超えても落選する。

 昨年3月発足したミチェル・バチェレー大統領の第2期政権は選挙法改正を公約し、今回、一部野党議員の賛成を得て三分の二の壁を乗り越えた。下院での通過は間違いないと見られている。

 改正法は、上院は従来の28選挙区を廃止し15州を選挙区とし、議席数を38から50に増やす。下院は選挙区を60から28に減らし、議席数は120から155に増える。議席はドント方式で比例配分する。

 改正によって小政党候補にも当選の可能性が拡がる。このため新政党が続々結成されることが予想されている。また、男女それぞれの議員が議席数の60%を超えてはならないとされ、事実上40%は女性に割り当てられることになる。

 故サルバドール・アジェンデ大統領の娘で上院議長のイサベル・アジェンデ議員は、改正法可決を「歴史的決定」と讃えた。