アイチ(ハイチ)では1月24日、大統領選挙の決選投票が実施されることになっているが18日、決選に進出した野党候補ジュドゥ・セレスタンが出馬を取り下げ、政権党候補ジョヴネル・モイスだけとなってしまった。
選挙法では、第1回投票(昨年10月25日)時の得票率第3位の候補が繰り上げられ決選に進出することになっているが、同3位だったモイス・ジャンシャルル候補も決選進出を拒否している。
このため、決選がまたも延期される公算が大きくなった。当初は12月27日実施予定だったが、第1回投票での投開票の大掛かりな不正を糾弾する野党勢力や世論の圧力で、今月24日延期されていた。
ミシェル・マルテリ大統領は圧力を受けて、不正の実態を調査する第三者委員会を設置したが、同委は大規模な不正があったとの調査結果を明らかにしている。
セレスタンは、米国をはじめとする国際社会は不正の存在を知りながら、アイチを二流国家と見下し、決選実施を押し付けようとしている、と非難した。不正にまみれた選挙の決選に進出すれば「選挙によるクーデター」に加担することになるとして、候補を正式に降りた。
一方、選管に当たる「暫定選挙委員会」(CEP、9人)のうち一人が、不正を放置したまま決選をしようとしてきたCEPに業を煮やし18日、決選実施反対に回った。
これで反対派3人、資格停止1人となり、CEPの決選賛成派は5人となった。規定では3分の2の6人の賛成が必要だが、5人となって、選挙管理機関も機能しなくなった。
前回の大統領選挙の際も不正があり、米政府に後押しされたマルテリが当選したことになって、就任した。アイチの事実上の「宗主国」である米国に同調する国際社会は、不正に目をつぶってでもマルテリの後継者ジュヴネル・モイスを政権に就けたがっているかに見える。
マルテリは2月7日、新大統領に政権を引き渡すことになっている。その日はカルナヴァルの始まる日だ。極度の混迷に陥ったいま、さらなる決選延期どころか、最悪ならぬ最良の場合、大統領選挙やり直しもありうる事態となった。
18日は、首都ポルトープランスで選挙の不正を糾弾する野党系市民数千人が抗議デモを繰り広げた。国内各地でも同様の動きが見られた。彼らは、任期切れ近いマルテリの退陣も求めている。