2016年1月7日木曜日

アルゼンチン右翼政権が国家公務員1万人解雇

 アルヘンティーナのマクリ右翼政権が、ペロン派左翼のフェルナンデス前政権の「残滓」を荒っぽく破壊している。これまでに、前政権が雇用した国家公務員約1万人を解雇した。

 1月6日には保健相ホルヘ・レムスが、医師が行きたがらない亜国の僻地で医療業務に当たってきた医師380人の医師資格を剥奪した、と報じられた。この380人は、2007年の亜玖協定に基づきクーバで医学を学び、医師免許を取得していた。保健相は「亜国には十分な数の医師がいる」と述べたと伝えられたが、積極的に僻地医療に携わる者は極めて少ない。

 だが保健省は報道を受けて同日、そのような通達は出していないと否定した。なぜ「医師免許剥奪」の情報が報じられたのか、原因は明らかにされていない。

 12月10日就任したばかりの大統領Mマクリは同月下旬、軍政時代に拉致、拷問、殺害などの人道罪に関与し収監されていた元軍人、刑務所所長ら10人を行政措置で釈放した。悪しき無処罰の伝統が甦りつつある、と内外から厳しく批判されている。

 政府は、マスメディアの一社集中を禁じた法制度を潰し、その管理機関に介入したり、他の機関からペロン派職員を大量解雇したりするなど、容赦なく大鉈を振るっている。

 外交面では米政府と歩調を合わせるかのように、マドゥーロ・ベネスエラ政権への内政干渉を繰り返している。

 政権発足後3カ月と言われる「蜜月期間」に前政権の「遺物」を一掃するという衝撃療法を採っているわけだ。ペロン派をはじめとする反政府派は野に下る転換期で、全国的な反撃態勢はまだ整っていない。

 だが知識人らの間で少しずつ政府批判の論調が現れつつある。