ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は2月20日、国内全部門で構成する「反ゴルペ国家コマンド」(CNA)を設置した、と発表した。「ゴルペ」(ゴルペ・デ・エスタード)は「クーデター」の意味。
大統領は、CNA代表には、ディオスダード・カベージョ国会議長が就任すると明らかにした。
CNA傘下の機関として、全国の工場、職場、地区、大学などに「反ゴルペ人民コマンド」(CPA)が設置される。大統領は、全国にCPA設置を呼び掛けた。
大統領は19日、「労働者民兵強化」を口にしたが、「国内全部門」に「民兵」が含まれるかどうかは不明。チャベス政権下で創設された民兵部隊は、ソ連製AK47突撃銃を使う訓練を受けたことがある。
いずれにせよ、CNA、CPAの設置は、「人民戦線」構築につながる可能性を秘めている。その戦略は、クーバの「全人民戦争戦略」に基づく。
マドゥーロはまた、22日土曜日にカラカス、バレンシア、マラカイボなど6都市で、女性を中心とする大規模なデモ行進を展開すると発表した。
一方、首都西方のバレンシア市では20日、反政府勢力に電力施設が破壊され、停電となった。この種の撹乱戦術が各地で続発している。
非国営メディアの多くは、中立的報道を放棄しており、反政府市民のインターネット情報と混じり合い、状況の実態や時系列的推移を見極めるのが徐々に困難になっている。
欧米・ラ米の右翼・保守メディアには、「意図的誤報」が氾濫している。マドゥーロ政権はこれを、内外メディアによるクーデター扇動工作と受け止め、背後に反政府派と連携する米国、コロンビア、スペインなどの右翼勢力がいると指摘している。
政府は20日、スペイン語版CNNテレビを煽動的報道を理由に 追放することを決め、外国人通信員1人が21日出国し、ベネスエラ人支局員1人が取材許可証を剥奪された。
ルイサ・オルテガ検事総長は21日、2月12日以来の反政府街頭行動などで計8人が死亡、137人が負傷した、と発表した。死者の一人は、自動車道に設置されたバリケードを避けようとして事故に遭った検事だった。また、逮捕された後、破壊活動罪などで24人が拘束されている。