2018年6月15日金曜日

 「次期メキシコ大統領はAMLO(アムロ)」とCITIが当確予測▼マクロ経済重視は変わらず▼国産品輸出優先か▼NAFTA崩壊しても米墨貿易は続く▼中銀の中立性尊重し、通貨切り下げや金利上昇はない

 「AMLO(アムロ=アンドレス=マヌエル・ロぺス=オブラドール)の当選は堅い」。米大手銀行CITIのラ米担当首席エコノミスト、エルネスト・ㇾビージャは6月13日、メキシコ大統領選挙(7月1日)の行方を明確に予測した。

 ニューヨークの同行本店で、ラ米メディアの通信員らを対象に分析結果を語った。「焦点は今や、AMLOの政党連合が国会で多数派を占めるか否かだ。可能性はある」とも述べた。

 大統領選挙連続3度目の出馬の元メキシコ市長AMLOは、民主革命党(PRD)から分派した国家刷新運動(MORENA)に所属し、小党と政党連合「フントス・アレーモス・イストリア」(JHH=共に歴史を創ろう)を組んでいる。

 レビージャはまた、「AMLOの経済政策がどのようなもになるかわからないが」と前置きしながらも、「マクロ経済の安定を重視するはずで、そうでなくなる可能性は短期的には見当たらない」と指摘。「市場開放反対を唱えずに国産品輸出を保護するだろう」とも展望した。

 外資については、「北米自由貿易協定(NAFTA/TLCAN)の交渉が長引いているため、外資投下は目立たない状態が続くだろうが、メキシコが外資にとって魅力的な国であることは変わらないのではないか。しかし先行きの不確実さもある」と予測した。

 また、「仮にドナルド・トランプ米大統領がNAFTA離脱に踏み切ったとしても、米墨関係の濃密さから両国貿易が途切れることはあるまい」と語った。さらに、「中央銀行の中立性を尊重するだろう。ペソ下落や金利上昇はないだろう」とも分析した。

 AMLOは2度の敗北体験から、今回は必勝を期して財界や保守派との政策上の妥協も厭わず、選挙戦終盤で支持率が50%を上回る圧倒的強さを維持している。CITIは、「左翼人民主義者(ポプリスタ)」という過去のAMLOの印象でなく、立場や思想の異なる相手とも妥協できる「現実主義者」としてAMLOを見ているようだ。