米州諸国機構(OEA、加盟34カ国)は6月4日、ワシントンの本部で第48回総会(外相会議)を開いた。ベネズエラ情勢が主要議題で、米加墨秘智伯亜の反ベネズエラ7カ国は同日、「民主秩序が途切れた」としてベネズエラのOEA加盟資格停止を提案した。5日、投票にかけられるもよう。
これに先立ちカルロス・トゥルヒ―ジョ米OEA大使は3日、ベネズエラの加盟資格を無期限停止とする議案を成立させるのに必要な3分の2(24票)を確保した、と明らかにした。資格停止は事実上の追放処分。「ベネズエラ問題」を議案とする決定は18カ国の賛成で成立する。
米国および同調する国々はまず、5月20日のベネズエラ大統領選挙を「無効」と決議し、次いで資格停止処分に移りたい考え。
マイク・ペンス米副大統領は以前からマドゥーロ・ベネズエラ政権打倒に意欲を燃やしているが4日、OEA外相会議に出席し、ベネズエラ非難演説をぶつ予定。
一方、ボリビアのエボ・モラレス大統領は3日、「ベネズエラでのクーデター計画に失敗したペンスは今また内政干渉しようとしている」と糾弾。「米帝国はOEAを、主権国を抑圧する棍棒として使おうとしている」と指摘した。
OEAはケネディ米政権下の1962年、社会主義キューバを追放した。米政府は同年、米軍主体のOEA有志軍を組んでキューバを武力侵攻する画策をしていた。
これを逸早く察知した当時のフルシチョフ・ソ連政権がキューバに「確固たる防衛策」としてソ連の核ミサイルを配備するよう提案。その結果、62年10月の米ソ核ミサイル危機が勃発した。
ベネズエラが今回、OEAから追放されれば、その追放策の底流に、武力でマドゥーロ体制を倒したい米国の執念があるだけに、「ベネズエラ問題」は危険な段階に陥りかねない。
▼ニカラグアのオバンド枢機卿が死去
ミゲル・オバンド枢機卿(92)が6月3日、死去した。1970年代末まで続いたソモサ独裁と、79年の革命で登場したサンディニスタ政権の両方に反対し、90年の大統領選挙でのダニエル・オルテガ大統領を敗北に導くのに貢献した。
その後、90年代の2度の大統領選挙でもオルテガ落選で動いた。だが2004年、オルテガと和解。オルテガ政権は07年に復活、現在3期目にあるが、オバンド枢機卿は政治集会などで必ずオルテガ大統領の左隣に座り、政権の権威づけに貢献していた。