2018年6月10日日曜日

 ニカラグア司教会議がオルテガ政権に事態打開の回答迫る▼選挙法改正を政権が受け入れるか否かが鍵▼ブラジル労働者党がルーラ出馬を正式に表明▼ハバナ駐在の米外交官2人が帰国▼べネズエラ外相がチリ政府を非難

 ニカラグア司教会議(CEN)は6月8日、「オルテガ政権に7日、調停案を提出した。16日までに文書回答がなければ、仲介を止める」と表明した。CENは4月から続く反政府勢力と政権との流血の対決を止めさせるべく対話仲介の労をとってきた。

 対話は5月16日開始。期間1カ月のため、今月16日が期限となる。未確認情報によれば調停案は、死傷者多数が出ている今回の反政府行動と弾圧の真相解明や、選挙法改正を済ませたうえで、来年3月ごろ大統領選挙を実施、4月の政権交代を目指す。

 選挙法改正で、正副大統領の任期制限や現職出馬制限が図られ、連続3期目にあるダニエル・オルテガ大統領、および1期目のロサリオ・ムリージョ副大統領(オルテガ夫人)は正副大統領選挙出馬を封じられる可能性があるという。

 大統領は16日までに為すべきCENへの回答で、どう返答するのか、重大な局面が迫っている。回答が政権延命策になれば、反政府勢力の活動がさらに激化するのは疑いない。

▼ブラジル労働者党がルーラ出馬を発表

 労働者党(PT)のクレイジ・ホフマン党首は6月8日、今年10月の大統領選挙にルーラ元大統領が出馬する、と正式に発表した。8月15日の公示日に登録することになる。

 ルーラは現在、パラナー州都クリチーバ警察本部の拘置所に汚職罪で拘留されており、最高裁の最終判断を待っている。

▼在玖・米大使館員2人が新たに出国

 米国務省は6月8日、ハバナ駐在外交官2人が帰国し、医療診断を受けていると明らかにした。正体不明の音響で体調を崩している、という。

 昨年9月、同様の理由で米大使館員22人が引き揚げており、これで計24人となった。残る大使館員は16人程度となった。帰国した館員の多くはCIAの諜報員と見られている。「諜報対防諜」の戦いから派生した出来事との見方が為されている。

 トランプ政権は、この「事件」をきっかけとして、対玖経済関係や、米玖両国人の相互訪問を大幅に規制した。同様の出来事は最近、中国でも起きたと伝えられる。

▼ベネズエラ外相がチリを非難

 ホルヘ・アレアサ外相は6月7日、チリのラ・テルセーラ紙との電話会見で、「セバスティアン・ピニェーラ大統領は、チリ大統領選挙時から反ベネズエラ姿勢を露わにしていた。ピニェーラ氏がベネズエラとの関係を破壊した」と非難した。

 ピニェーラ政権のロベルト・アンプエロ外相は4日のOEA外相会議でVENを激しく攻撃したが、アレアサ外相は「チリ外相は個人感情を剥き出しにした」と指摘した。

 さらに、「ピニェーラ氏は、リマグループ代表のPPクチンスキ秘大統領が汚職で辞任したのを受けて、その後釜に座ったかのように対VEN攻撃に勤しんでいる」と皮肉った。

 VEN外相は、「わが国には人道問題はない。あるのは外部からの経済的、政治的な攻撃とメディアによる攻撃だ」とし、「ラ米・カリブの友邦や中ロ印トルコなどの協力で、経済制裁を打ち破ってゆく」とも述べた。

 また、「我々は1965年のRD(ドミニカ共和国)でも89年のパナマでもない。対話と政治で問題解決を図る。だが別の選択肢を強制されれば、対応するだけだ」と強調。過去に米軍に侵攻されたRDとパナマの例を挙げて、軍事攻撃の可能性に触れた。