2018年6月15日金曜日

 「ベネズエラへのいかなる干渉にも反対」とブラジル外相が言明▼チリ外相も同様の発言▼トランプ米政権からのVEN軍事介入の打診を拒否か▼VEN執権副大統領に女性闘士デルシー・ロドリゲス就任

 ブラジルのアロイジオ・ヌネス外相は6月14日、「ブラジルはベネズエラへのいかなる種類の干渉にも反対する。同国の問題は交渉を通じ平和裡に解決されねばならない」と述べた。

 チリのロベルト・アンプエロ外相も12日、「ベネズエラの問題はベネズエラ人が交渉で平和裡に解決すべきだ。リマグループなど国際社会は、それを支援する」と語っている。

 南米有力国外相の相次ぐ同種の発言は、対朝首脳会談が一段落したトランプ米政権が、マドゥーロVEN政権を軍事介入で倒したい誘惑に駆られている可能性を示唆する。

 ラ米諸国はこれまでに何度か、トランプ政権からのVEN武力加入の打診を拒否してきた。だが政権中枢や共和党内に右翼強硬派を抱えるドナルド・トランプ大統領が、中間選挙前に「対朝対話よりも鮮烈な成果」を挙げるため、VEN侵攻をあらためて画策している可能性は十分考えられよう。

 これまで米州諸国機構(OEA)で反マドゥ-ロの米国に同調してきたラ米保守・右翼陣営も、軍事侵攻に加担するのには二の足を踏む。
 ブラジル軍部は1964年、米国の後押しでクーデターを起こし、生まれた軍政は21年も続き、米国に意見を容れながら強権政策や左翼弾圧を進めた。
 チリ軍部も73年、米政府と連携し、アジェンデ社会主義政権をクーデターで倒した。

 今や、ラ米側の「ためらい(二の足)」が、ベネズエラにとり救いとなっている感がある。

 一方、ニコラース・マドゥーロ大統領は14日、政権中枢と閣僚の人事を発表。大統領権限を引き継ぐことのできる執権副大統領にデルシー・ロドリゲス制憲議会(ANC)議長を任命した。

 これまでの執権副大統領タレク・エルアイサミは、新設の産業・国内生産相と、経済部門担当副大統領になった。水産・農業、貿易・外資、都市農業、観光、公共事業、運輸、労働、女性、環境社会主義の9相も交代した。この他、新設された水利省の初代水利省も就任した。

 公共事業相になったマルレニー・コントレラス(前観光相)は、大統領に次ぐ実力者で、政権党PSUV副党首のディオスダード・カベージョの妻。カベ―ジョは以前、公共事業相を務めた折、大規模な汚職関与が指摘された。

 デルシー・ロドリゲスはマドゥーロ政権下で通信・情報相、外相、ANC議長を歴任。兄ホルヘは通信・情報相で、マドゥーロの側近中の側近。また兄妹の父ホルヘはマルクス主義政党「社会主義連盟」創設者で、1976年7月、秘密警察に拘置所で拷問され死亡した。

 マドゥーロ大統領は任命に際し、デルシーを「勇気ある百戦錬磨の若い女性にして殉教者の娘であり、実績は証明済み」と最大限に讃えた。デルシーはANC議長を兼務する。
 5月20日の大統領選挙で再選されたマドゥーロは来年1月、2期目に入るが、これに備え、大型人事で政権の内部固めをした。

 政府は12日、政治暴力事件関与などで収監されていた囚人11人を新たに釈放した。その一人、大学都市メリダで反政府学生運動の指導者として活動、16年月末から拘禁されていたビルカ・フェルナンデスは父親の母国ペルーに追放された。

 コロンビア軍は13日、VEN国境のアラウカ県フォルトゥル市の密林を空爆。和平に応じなかったFARC(コロンビア革命軍)の武闘継続派残党16人を殺害した。

▼本日発売の「週刊金曜日」誌に、『アイルランド革命』(小関隆著、岩波書店)の書評(拙稿)掲載。ご参考まで。